災害はある日突然やってくる。雪の博士として名高い中谷宇吉郎は「災害は忘れたころにやってくる」という印象深いことばを残しています。
最近は、防災「災害を防ぐ」ということが困難で、自然の力を人の知恵や努力で完全に押さえ込むことはできない、と考えられるようになってきました。そして、新しく言われ始めたのが、「減災」という考えです。災害を防ぐことはできないが、どのように備えれば、災害を最小限に食い止めることができるかという考え方です。
次の3つは、減災のための準備の柱といえるものです。
防災計画で、大雨が降った場合の排水力を検討し、予想最大雨量(短時間雨量・長時間雨量)に対して、排水力が間に合うかシミュレーションします。排水能力が足りなければ、排水力の整備が必要になります。
しかし、どんなに備えても、最大と予想した雨量を超えた降雨があると、洪水等の災害が発生します。もちろん、排水力だけではなく、土砂崩れの危険地域に適切な工事を施すなどの対策も含まれます。
どんなに優れた避難設備を造っても、そこに避難する経路が安全でなければ、だれも避難できません。経路の周知、危険なところに取り残された人の救助のための消防の訓練などは欠かせません。土砂崩れが発生する前に、危険を察知する担当者の教育・訓練も重要です。
ロープを使っての脱出シーンはテレビでおなじみですが、訓練なしにこんなことにトライできません。
よく、ニュースで、ヘリコプターでの救助シーンを見ます。危険なところに取り残された人がいることはわかっていても、ヘリコプターがなければ、助け出すことはできません。
砂防ダムが必要な場合もあります。
防災のための施設は、地域によって大きく異なります。同じことを一律に準備することはできません。
適切な備えは、減災に欠かすことができません。3つの柱のどれか一つに力を入れても、限界があります。「予算がないから、教育・訓練に力を入れる」。やらないより、はるかによいでしょうが、3つの柱の強いところがあれば、それが有効に働くかというと、一般には、そんな都合よくはいきません。普通は、弱いところのレベルまでの防災力・減災力しか機能しないものです。