防災も切り口によっていろいろな側面があります。切り口を変えて見ることは、どのような問題でもとても重要なことです。いままで、見えなかったことが、切り口を変えてみることで浮き彫りになることがたくさんあります。
防災をハードとソフトという側面から見てみると、次のような特徴があります。
ハード防災は、主に構造物による被害軽減を目的とするもので、英語では、Structual Measuresといいます。一方、ソフト防災は、いわば、ハード防災とまったく異なるものを指します。英語で表すとよくわかります。英語では、Non-Structual Measuresといいます。要するに「ハード防災でないもの」である。
ダムや堤防の建設、建造物の耐震補強などが代表です。
日本では、ほとんどの場合、ハード防災が優先され、公共事業の代名詞のようになっています。
ハード防災の強い点は、計画どおりに工事が完成すれば、そのときから、機能を発揮するということです。ダムが完成すれば、そのダムの保水力の範囲の降雨は、ダムが完全に貯水して、洪水になることがありません。効力の点で、ハードはわかりやすく、明確に結果に反映されます。そのため、結果的に、日本は、ハードの増強にのみ目が向いていったことは否めません。
もちろん、ハード防災では駄目ということではなく、ハード防災は最低必要だが、ハードだけでは対応できないというのが、現在の考え方の主流になっています。
ソフト防災は観測システムや情報システムj、ハザードマップ、またさまざまな法規制、教育、訓練などをいいます。
ハード防災の弱点を補うものとして、近年、大きな期待が寄せられていますが、やはり弱点もあります。
次のような点が思うように進まないことです。
ソフト防災の特徴は、防災技術単独では、成果を期待できないことです。どんな優れた観測システムも、利用者に情報が的確に伝えられ、情報が理解され、活用されなければ、ないのと代わりがありません。つまり、造っただけでは、役に立たないのがソフト防災の最大の弱点です。
気象庁や国土交通省のリアルタイム情報があるが、活用していない人も多く、見てはいても、十分に理解できない場合もあります。せっかくの情報があっても、見ている人がいない、活用している人がいない、活用しようとしても十分に活用できないなどという問題が起こるのがソフト防災の大きな弱点でもあります。ハードの場合のダムができれば、住民が知らなくても、大雨の水を保持してくれるのとは根本的に違います。
近年の防災設備の多くは、ハードとソフトが一体化しており、複雑化していますので、ハードとソフトの区分が難しくなってきました。ダムのようなものでさえ、放水の決定などは、情報システムのデータを下に実施します。単独でハードといえるもの、ハードをまったく含まないソフトというものもありませんので、考え方として、区別することは重要ですが、切り離して論じることには限界もあります。